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マイナスをなくせたら思い切ってあなたらしさを出そう
オンラインコースやウェビナーにおいて、「講師のファンになる」ことは非常に大事な要素です。話し方が流暢で滞りがないことよりも、あなたの人柄やキャラクターが伝わる方が、ファン化するポイントとなります。
話すのが得意な人の話であっても、ときには心に響かないことがありませんか。ここで言うファン化は、芸能人のようなファンとは異なり、講師に共感し、好きになってもらうことです。それがなぜ大事かというと、講師に興味を持ってもらえると学習がポジティブに進むからです。
逆の視点から考えてみると、講師の話し方が嫌だなと感じている場合、学習の内容が頭に入りにくいことがありますよね。嫌だなとまで感じなくても、講師自身の人間性やキャラクターが見えない、あるいはそつのない完璧な話し方だけの場合、興味が持てないからです。
あなたの学生時代を思い出してください。授業で好感を持てた先生と、興味を持てない先生の授業と、どちらを熱心に聴いたでしょうか?
私の場合は、社会科がかなり苦手で、国語は得意でした。高校時代の国語の先生は若く、そつのない授業をする先生で、どこも難点のない先生でした。
でも、どんな授業内容だったか思い出せません。嫌いだったわけではなく、単にそつがなく、平凡だったのです。先生の顔はよく覚えていますが、どんな授業だったかは全く覚えていないのです。
一方、私が苦手な社会科の先生は、とてもベテランで、独特の風貌の先生でした。頭はぐしゃぐしゃで、着ている服も少しずれていたり、変わった風体の先生でした。話し方もそれほど流暢ではなく、北海道訛りがきつい先生でした。そして口の中でモゴモゴ話すので、何を言ったかわかりづらいことも多かったです。それでも、彼の授業は非常に面白かったです。特に、地理と歴史を織り交ぜて説明することがとても上手で、1回の授業で、みんなが感動し、ああそうだったのかと新たな発見を教えてくれる先生だったのです。
そもそも、その先生が非常に面白い授業をする先生だということは、みんなあまり気づいていませんでした。なぜなら風体は個性的だし、口の中でモゴモゴ話していて、聞き取りにくかったからです。ですから、よく聞いていないと聞き逃していたのです。しかし、なんとなくその先生が何か変わっていて面白いと感じ、クラスの女子たちが女子高生特有のちょっと残酷な興味を持ち始めました。
初めは興味津々で、今日の授業はどんな服装で来るのかだけを楽しみにしていました。そして集中して聞いてみると、その先生の授業が非常に面白いことに気付いたのです。そこからは、ますますその授業に夢中になりました。その先生がモゴモゴと話す中で、どんな面白いネタが出てくるのかを楽しみにし、授業にポジティブに取り組みました。そのため、社会が苦手な私でも、覚えている授業がいくつもあります。
もしかしたらあなたは、とつとつと話す方やボソボソ話す方、訛りがある方、内気な方、あるいは少し強気な口調で怖いと言われている方かもしれません。しかし、どれもあなたの個性であり、別人になる必要はないことを、強く強くご自身に言い聞かせてください。受講生が聞きやすいように配慮するだけで十分です。
私の社会科の先生は対面授業だったので積極的に受講することができました。ですが、もし顔出しなしの音声だけのオンラインコースだったら、聴き取りにくかったかもしれません。
そのため、聴きやすくするためには、ステップ1でお伝えしたマイナス部分を取り除くことが大切です。ノイズをなくすことに配慮していただければ、あなたの個性は十分にそのまま活かしていただいて、大丈夫です。
先日、Udemyで、あるオンラインコースを受講しました。このコースは男性の講師の方が説明をしていました。その講師はどちらかというと内気な感じで、少しボソボソ話すタイプの方でした。
最初は、「ボソボソ話すなぁ」と思いながら聞いていました。しかし、コースを受講していくうちに、それがその方らしい話し方であることがわかったのです。なぜかというと、控えめで穏やかな人柄で、できるだけ受講生の力になりたいという気持ちがそのお話しぶりから伝わってきたからです。
そのため、彼が温かい気持ちを持ち、どちらかというと話しベタな人であることが、とてもナチュラルに理解できました。ですから、ボソボソ話すこと自体が問題ではなく、その人らしい話し方なら、「こういう話し方の先生なんだな。」と受講生も受け入れられます。別の人になる必要はありません。
そして、別人になろうとすることには、1つ大きなデメリットがあります。それは、コースを次々と出していけなくなる可能性があることです。つまり、自分ではない誰かになろうとしたり、誰かの話し方を真似しようとすることで、あなたの負担が大きくなりすぎます。
そこにエネルギーを使い過ぎてしまい、次々と新しいコースを出していくのが難しくなり、講師を続けていけなくなるのです。だからこそあなたの個性のままで、継続しやすい話し方でオンラインコースを作っていただくことが合理的です。
そして、あなたの個性に惹かれる人は受講生としてリピートしてくれます。一方で引かれなかった人はリピートしない、ただそれだけです。また、話すときに噛んだり詰まったりすることについての多くのご相談がありますが、私もたくさん噛んでいますし、たくさん詰まっています。言葉を選ぶときに「あー」とか「えぇとー」と話すことがあります。しかし、この部分は編集で簡単にカットできるので大丈夫です。そこは録画の強みですので、躊躇せずに取り組んでみてください。慣れてくると、編集にも慣れ、カットする箇所が減っていきます。
台本を作る際には、基本的に「変な間」はないですよね。噛んで言い直すところをカットするだけなので、何も躊躇することはありません。大丈夫です。そして、今が一番苦手なときだと思ってください。実際、これが事実であり、場数をこなすことで上手くなっていきます。
私が初めて音声コンテンツを収録したのは、今からさかのぼること7年ぐらい前になります。そのときの音声は、今では恥ずかしくて聞けないほど、全く違う話し方をしていました。
上達するとは、ただ慣れるだけではなく、よりナチュラルに話せるようになるようになることだと私は考えています。ですから、場数をこなせばこなすほど、あなたが話しやすく、自分らしく話せるようになるでしょう。
だから、自信を持って、あなたらしさを大切にしてください。私はUdemyの講師仲間といろいろ話をすることがあります。そうすると、ご自身の話し方について相談されることもありますが、私から見ると、その人らしくてとても素敵な講師なんですね。なので、あなたも自分が思っている以上に自分らしく話せていると思って、自信を持ってください。
おわりに
お疲れ様でした。声のトーンや話し方、いろんなことをお話してきましたが、声は本当に伝わるんですよね。声のトーン、話し方、そして話すときの熱量がどれくらいあるかが、不思議と声や言葉に表れます。そして、あなたの思いは必ず伝わります。
思ったように流暢に話せない時期があるかもしれません。今でも私は流暢には話せていません。しかし、こんなレビューをいただくことがあります。「このコースのこの部分で、講師の心情が吐露されているようで、胸に響いた」とか、そうした感想をいただくことがあります。
そうしたレビューは、年に1回あるかないかぐらいですが、どうにかして伝えたい、理解してもらいたいという思いは、必ず声に乗ります。
ノイズになる部分はできるだけなくしましょう。そうしないと受講生が離れてしまう可能性があります。ノイズになる部分をクリアしたら、それ以上上手になる必要はありません。
あなたらしく、そして思いを込めて、オンラインコースを作ってください。そうすれば、きっと伝わり、受講生に理解されるコースになるでしょう。ぜひトライしてみてください。