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3ステップで暮らしを再構築する
ではさっそく暮らしの再構築を始めていきましょう。
まずあなたが使える時間をシビアに割り出しましょう。次に、動かせないタスクとその時間帯を洗い出します。そして最後にやっとあなたのタスクを優先順位をつけながら落とし込んでいく、という流れです。
おそらく最初のステップで、自分が使える時間はこれだけしかないのかと驚かれるはずです。
そして時間の動かせないタスクの存在にお気づきになるでしょう。これは特におひとりではなく、ご家族やパートナー、お友だちと暮らしている方は絶対にこの時間でないといけないタスクが出てくるかと思います。それを洗い出して、動かせないものはもう動かせないものとして受け入れます。
その結果、余った時間の中に自分の仕事を優先順位をつけて落とし込んでいくという流れになります。
ステップ1. 使える時間をシビアに割り出す
では「使える時間をシビアに割り出す」というステップから入っていきましょう。
みなさん、1日24時間ですよね。24時間しかありません。私は「これが36時間あったらどんなにいいことか、48時間あったらどんなにいいことか」と何度もつぶやいてきました。その度に家族に「そんなことみんな思ってるよ」と言われましたし、「36時間に増えたところで48時間あったらいいのにときっと言うよ」と言われて、たしかにそうだなと思いました。
私は作業療法士という仕事に長年携わっているのですが、生活を再構築するというときに一つの考え方があります。それは人の生活というのは三つの要素で成り立っているという考え方です。
一つは「セルフケア」です。もう一つは「ソーシャル / レイバー」、つまり社会的な役割 / 労働というくくりです。そして「レジャー(余暇活動)」です。この三つで人の生活・暮らしというのは構築されています。これを24時間の中でやっていくという考え方です。
「セルフケア」というのは自分をケアすることです。
具体的な例としては睡眠です。夜はもちろん人によっては昼寝が必要かもしれません。その他には食事、入浴、整容・更衣。整容・更衣というのは身支度を整えることですね。着替えをしたり、髭を剃ったり洗顔をしたりお化粧したりということです。それから運動や健康管理、例えば定期健診や歯科受診、あるいは健康のためにジムに通うといったこともセルフケアに含まれます。
次に「ソーシャル / レイバー」です。
レイバーは労働、仕事ということです。組織に勤めている方でしたら家を出て、通勤の時間を含め帰宅するまでの部分です。
ソーシャルというのは社会的役割です。仕事のように賃金が出るわけではないけれども、町内会の役員や親戚づきあい、例えば誰かの誕生日会に行かなければいけない、などもありますよね。お子さんがいる場合、お母さん同士の付き合いやPTAも社会的な役割に含まれてきます。それで取られる時間は馬鹿にならないはずです。
そして家庭内の役割というのもソーシャルに含まれます。家事はもちろん私ぐらいの年齢になると、親の買い出しに毎週何曜日の午前中は車を出してあげている、いう人も増えてきます。また親の通院介助を担っているという人もいます。これが家庭内の役割、社会的役割としてカウントされます。
「レジャー」というのは余暇活動のことです。趣味活動や楽しみのための人付き合いがこのジャンルに含まれます。
3つの要素を理解した上で、次の円グラフを見てみましょう。便宜上3等分していますが、この割合というのは人によってずいぶん変わるはずです。
特に女性の場合はライフステージによってセルフケアとレジャーはほとんどなくて、ソーシャル / レイバーだけで占められているという時期も多くあるかもしれません。ただここで覚えておいていただきたいのは、24時間という決められた中で配分するということです。
24時間の枠の中でどのカテゴリにどれだけ時間を割くか、あるいは割くことができるかということを把握していきましょう。
ステップ2. 動かせないタスクとその時間帯を洗い出す
次は「動かせないタスクとその時間帯を洗い出す」ステップに進みましょう。
動かせないタスクというのは先述した通り、あなたが一人暮らしなのかそうでないのかによってずいぶん変わってくると思います。一人暮らしの場合は自由度が高いかもしれません。
動かせないタスクというのは例えば、ご家庭によって朝食は7時、夕食は19時からの1時間、入浴は何時から、と時間が決まっている場合もあるかと思います。このタスクはこの時間にやると決まっているものを全ての生活活動について洗い出してください。セルフケア、ソーシャル / レイバー、レジャーの全てについて洗い出してみましょう。
特に職住一体のフリーランサーの場合、セルフケア、ソーシャル、レジャー以外の時間をレイバー、つまり労働に充てるというのが現実的です。
私の場合は、動かせないタスク以外の時間で仕事をやりくりすると考える方が非常に現実的でした。ここには暮らしを構築する上での三つの要素を挙げていますが、レジャーを我慢する必要があるかもしれません。
過去の私もそうでしたが、従業員からフリーランサーへの考え方の転換が必要な方がいます。つまり9時~17時で働けばいい、というわけにはいかないのです。組織に勤めている従業員である場合は9時~17時など、その組織で決められた時間をその組織に存在すれば、または一定のタスクを消化すればお給料がもらえていました。
ですがフリーランサーの場合、あなたはあなたのビジネスに対して単独、つまりあなた個人で責任を負うことになります。タスクが目標設定にたどり着かない場合は、9時~17時だけ働けばいいというわけにはいかないのです。
恥ずかしながら私の場合、資料として見る以外の読書は全くできていません。
元々読書は好きです。もう20年近く読み続けているシリーズ本があるのですが、この5年ほど趣味の読書というのは全くできなくなりました。長い間そのシリーズ本の新刊が出るたびに初版を買うのが毎年のルーチンだったのですが、買っても読めないということが3年ほど続いてからもう買わなくなりました。
オンラインコンテンツをつくる、またはコンサルティングに必要な資料として見る雑誌や書籍は買って読むのですが、あくまでも資料として見るだけであって自分の趣味範囲の読書というのは恥ずかしながら全くできていません。
他にも雑誌の定期購読を何冊かしていましたが、それも読む時間がないので定期購読をやめました。テレビもほとんど見ていません。あなたの場合はいかがでしょうか?
ステップ3. 優先順位をつけながら落とし込む
最後は「優先順位をつけながら落とし込む」ステップです。
1日24時間という限られた時間からセルフケア、ソーシャル、レジャー以外の時間を労働に充てると考えます。
そして労働に充てるのも優先度の高いタスクから入れていきます。当たり前のことしか言っていませんが、この作業にはコツがあります。フリーランサーとしてのタスクを必ず「シングルタスク」にして落とし込んでください。
多くの人はこれをマルチタスクにしてしまいがちです。特に女性はマルチタスクが得意だと言われているのでその傾向にあります。私も得意だと思っていました。
ですが必ずシングルタスクにしてください。なぜかというと、生活を極力シンプルにするためです。生活が複雑なままでは時間管理やタスク管理がうまくいきません。つまり成果が出ません。特に職住一体で働いているフリーランサーの方は生活をシンプルにする必要があります。
ここで私の失敗談をお話しします。「生活が複雑なままで職住一体」がどれほど混乱するか。私はその複雑な状態のまま何とか解決しようとしました。あれもこれもやって、これも手放さないで何とかタスクを進めていけないか。要は詰め込もうとしたのです。
「マルチタスクではなく、シングルタスクにしてください」と先述しましたね。私は時間が足りないことが徐々に分かってきました。生活が複雑なまま解決しようとしても、どうもタスクが減らない。ToDoリストが日ごとに長くなり、こなせないものが積み重なっていきました。
そこで合理化してあれをやりながらこれをやる、と進めれば何とかこなせるのではないかと考えました。例えば家事をしながら音声コンテンツを聞き、理解して消化しようとしました。でも、合理化を追求しようとすればするほど、更に複雑になりました。
そうして「シンプルにする」、「そもそもやることを少なくする」、「考える時間をできるだけなくす」ということが必要なのだと気づきました。年単位かかってやっとたどり着いた考えでした。
スティーブ・ジョブズがよく例に挙げられますね。彼が服装を統一していたのは、服装に関して考えたり迷ったりする時間を省くためだと言われています。
社長またはある程度の管理職に就いている方は、ランチに何を食べるかを決めてしまっていることをサラ飯という番組でよく見かけます。日によってメニューを変えるのではなく、会社の近くのコンビニの特定のサラダだけを食べる、というように固定してしまっている方が多いのです。
考えたり迷ったり決めたりすることは時間だけではなく、脳の思考するエリアも消費してしまいます。その消費をできるだけなくしていきましょう。極端な表現ですがロボットのようにこの時間になったらこれをする、と動けるようにすると最も時間効率が良くなります。
やや無機質に感じるかもしれませんが、効率良く多くのToDoリストを消化できるようになります。少し我慢してお付き合いください。
【コラム】在宅ワークにポモドーロテクニックは有効?
さて、ここで一息。在宅ワークにポモドーロテクニックは有効か、ということについて、私の意見をお伝えしておきます。結論から申しますと、在宅ワークには、有効ではありません。ポモドーロテクニックを初めて聞いたという方のために、参考になる記事をご紹介しておきます。
ポモドーロテクニックで検索すると、いろんな記事が出てきます。「世界が実践する時間管理術はこうして生まれた」というものがあります。それは仕事や勉強、家事などのタスクを25分間続けた後に5分の休憩を取って、そのサイクルを最大4回続ける、という時間管理術のこと。これにはいろいろバリエーションがあって、何分続けて何分休憩をして何分を1サイクルにするかを、その人によりアレンジすることもできます。ですが、基本的には25分、そして5分の休憩。これを最大4回続けて、サイクルとサイクルの間には長めの休憩をする、というふうにして行っていく時間管理術です。興味があればお読みください。
そしてポモドーロテクニックを実践するためのアプリというのもたくさん出ています。「ポモドーロテクニック アプリ」と検索していただくと、たくさん参考記事が出てきますのでお好みに応じて見てください。「ポモドーロ・テクニック用タイマーアプリ8選 実際に使ってみた」という記事にはスマホアプリが3つ、Chromeの拡張機能が2つ、そしてWebのサイトが3つ出ています。
スマホアプリは非常に使いやすいです。実際に私もこのBe Focusedというアプリを使ってみました。アプリを使うと何がいいかというと、タスクの種類を設定しておくことができるし、その日その日のタスクの記録をアプリに残していくことができるのです。どのタスクを何時から何時まで行ったかを、全てアプリの中に記録していくので、自分がどれだけ行ったか、何を行ったかを可視化することができます。
ただ、どのアプリもなのですが、25分なり20分なり自分の決めた時間を計ることができればいいので、キッチンタイマーがあれば事足りる、と言えば事足ります。ということで、興味のある方、一度使ってみてください。
その上で、ポモドーロテクニックが在宅ワークに有効でないと私が考える理由をお伝えします。
ポモドーロテクニックというのは、全力疾走なのです。決められた時間、集中してそのタスクに取り組む、そして5分休憩してまた次の25分取り組む。5分休憩してまた次のタスクに25分取り組むというようにしますので、ツイッター(X)などを見ていると、「ポモドーロテクニックを使ったら、8時間すごく集中して作業できた」というようなツイート(ポスト)をよく目にします。
私も取り組みました。たしかにはかどります。でも全力疾走なんですよね。全力疾走なので、継続性がありません。在宅ワークの場合は継続可能である、ということが非常に重要です。続けていけるスタイルであるということです。私の失敗談なのですが、モチベーションという言葉が適切かどうかわかりませんが、モチベーションを上げようとして、ポモドーロテクニックで時間を計れば、その時間だけ頑張れるのではないかと思ってやりました。全力疾走できました。その日は確かにはかどったのですが、その後数日間、枯れ果てて、なにもできなかったのです。つまり、逆説的な話になるかもしれないのですが、今日だけ頑張ればいいっていう運動会のようなものではないのですね。
フリーランサーの在宅ワークというのは、今日は頑張れたけど、その後数日間何もできませんでしたではなく、明日も明後日も、1週間後も1ヶ月後も、年間通じてできるスタイルを築かなければ、その数日間を平均したタスクの総量というのは、大したことがないのです。私も未だにやってしまうのですが、あともうちょっとやりたい、あともうちょっとやりたいというふうに、はかどる日というのがあります、稀に。そうするとその後何日間かは、全体の作業量が落ちます。なので平均するとやっぱり変わらないのですね。
ですから、最初から全力疾走をしようと思わないことが重要です。どれだけ長期間継続して、同じスタイルでやっていけるかという視点を持ってください。
まとめ
3ステップで暮らしを再構築する、を振り返っていきます。まず最初に使える時間をシビアに割り出すこと。そして2つ目、動かせないタスクとその時間帯を洗い出すこと。3つ目に、優先順位をつけながら仕事を落とし込んでいくこと。
そして、継続可能であることが非常に重要だということをお伝えしました。