ナダル選手の引退が教えてくれた体の変化と時間の使い方

Tennis ball on a tennis court next to the side line

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2024年11月19日、テニス界のレジェンド、ラファエル・ナダル選手が現役を引退しました。ナダル選手がいなければ錦織選手がもう少し上位に行けたかもしれないのでは、と思うほどの強敵でした。

体の限界と向き合ったナダル選手の言葉

ナダル選手は引退の際、次のように語っていました。

「ナダルは涙を流した。正直言って誰もこの瞬間を迎えたいと思っていない。テニスをすることに疲れたわけではないが、体がもうプレイしたくないと言っている。この状況を受け入れざるを得ない。自分の趣味を仕事にできたこと、想像していたよりもずっと長くプレイできたことはとても恵まれたことだと思う。人生と自分を支えてくれる全ての人々に感謝するしかない」

この言葉は、50代後半になった私にも深く響きました。ナダル選手は38歳での引退。テニス選手としては非常に長いキャリアです。

「テニスをすることに疲れたわけじゃないけど、体がもうプレイしたくない(プレイに耐えられない)と言っている」

この言葉は、私と同年代、あるいは年上の方には共感できるのではないでしょうか。

リハビリ現場で見た光景 年齢と病のリアル

私も50代半ばを過ぎてから、テレビで言っていたことはこういうことだったのかと、自分の体感として分かってきたことがあります。

私は20代の頃からリハビリの現場におり、いろいろな患者さんを見てきました。若い方から高齢の方まで、幅広い年齢層の方々がいらっしゃいましたが、やはりボリュームゾーンは50代以上の方々でした。

特に総合病院に勤務していた時は、関節リウマチや進行性の難病、脳梗塞、心筋梗塞といった疾患の方が多く、ほとんどの人が50代、60代、70代で健康上のトラブルに直面していました。

当時は、病気に対する患者さんの反応や、入院への驚きなどが理解できませんでしたが、自分が当事者側になるにつれて、徐々に分かってきました。

「なぜ入院?」 脳梗塞患者さんの驚きの反応

印象的だったのは、私が急性期の総合病院に勤めていたときのことです。

脳外科はありませんでしたが、神経内科はありました。脳梗塞で血管が詰まり、脳の一部が機能しなくなった場合、多くは内科的な治療になります。点滴や内服薬、そしてリハビリです。

ある60代後半の男性患者さんの例です。

近所でガソリンスタンドを経営していた彼は、ある朝起きたらろれつが回りにくいことに気づき、奥様と一緒に歩いて病院を受診しました。

検査の結果、おそらく脳梗塞だろうということで、入院することになりました。しかし、ご本人は「そんなに大層なことないのに入院なんですか?!」という反応でした。

その頃には、脳梗塞で入院して全身状態の良い人は、すぐにリハビリを開始するという流れになっていました。

入院の翌日からリハビリに来ていただいたのですが、ご本人は「なんで入院になったんかわからん」と言うのです。歩けているし、歩いて病院に来た、別に手も動くし、ちょっと喋りにくいけど喋れる、入院するほどのことかな、と。

奥様もびっくりしたということでした。

その方は3日目ぐらいになると、麻痺が出てきて、脳梗塞の影響がはっきりしてきました。そこでまた、「なんで病院に入院したのに悪くなっていくんや」と怒られるのです。

私たちからすると、ろれつが回らなくなって病院に来て、脳梗塞疑いなら、それは入院だろう、歩けていたとしても、というのが当たり前でした。しかし、一般の方にとってはそうではないのだと気づかされました。

まさか入院!? 夫の腹痛でよみがえる記憶

その経験から約20年後、私たち夫婦も似たような体験をしました。

ある日の夜中、夫が突然の腹痛に襲われ、何度もトイレに行き、油汗で汗だくになるほどだったというのです。

朝になってその話を聞き、どれくらい痛かったのか、場面を見ていないので何とも言えませんでしたが、病院に行った方が良いと判断しました。

そして、下血の写真を見せられ、今から病院に行こうということになりました。

近所の病院の消化器内科を受診し、エピソードと写真を見せたところ、虚血性腸炎ではないかという診断でした。

私たちも聞いたことがない病名で、何に気をつけたら良いかとかどんなものなら食べてもよいかなどを尋ねたところ、「今日このまま入院ですよ」と言われ、二人とも「えっ?!」となりました。

その瞬間、昔の患者さんのことを思い出したのです。「このまま入院です」と言われて、「どういうことや」と言っていたあの人の気持ちが、ようやく理解できました。

50代後半の悩みはグレーゾーンの不調が増えること

若い頃には分からなかったことが、年齢を重ねるにつれて、答え合わせされていくような感覚があります。

夫はどちらかというと胃腸が弱い方でしたが、結婚してからは安定していました。しかし、ポツンとトラブルが起きるようになったのは、やはり年齢のせいでしょう。

私自身も、いちいち言わないまでも、この不調は何だろうと思うものが増えてきました。

4年前、私より年上の女性のお客様がいました。ミーティングの日を決めていても、「ちょっと今日病院に行かなくちゃならなくなったので」と、頻繁に予定変更が必要なことがありました。

何かの後遺症でもなさそうで、アクティブな方なのに、病院通いが増えて嫌だとおっしゃっていました。当時は、ずいぶん病院に行くことが多いなと思っていましたが、最近になってその理由が分かってきました。

私は幸い、更年期障害をほとんど知らないうちに過ぎてしまいましたが、これって病院に行った方が良い不調なのかどうなのか、判断がつかないものがちょこちょこ出てくるのです。

この分からなさって何だろうと考えたとき、年齢のせいだという思いがまずあります。

年齢だから疲れやすくなるとか、何かしたときの体力の立ち直りが遅いとか、それだけのことかなと思ったりもします。とはいえ、自分の判断は当てにならないので、病院に行って確かめようと思う回数が増えてくるのです。

若い頃は、怪我をしているかしていないか、病気であるかでないかの境目がはっきりしていました。明らかに熱がある、明らかにお腹が痛い、すごい頭痛がするなど、コントラストがはっきりしていました。

しかし、50代を過ぎるとその境目が曖昧になり、グラデーションが出てきます。白か黒かではなく、グレーゾーンが出てくるのです。

グレーゾーンというか、マイナートラブルがいくつも出てくるので、病院に行く回数が増えるのだと、4年前には分からなかったことが今なら分かるようになりました。

体力と時間の関係 「やりたいこと」をやるために

体力は、稼働可能な時間だと考えます。

ナダル選手が言っていたように、もっとテニスをしたいけれど体がノーと言っている、という状況は私たちにも遅かれ早かれ起こってきます。

そうなると、何を優先して何を先送りするかという判断を日々していかないと、もっとあれをやっておけばよかった、という思いになるのではないでしょうか。

私は、「大切なものを大切にできる人生を作ろう」ということをテーマに活動しています。

人間は食べていかなければいけないし、生活費を得なければいけないので、仕事が優先になりがちです。しかし、そればかりでは人生が終わるときに残念な思いをすることになるでしょう。

だから、時間を生み出しながら、大切なものをちゃんと大切にできる人生にしていきましょう、ということで、オンラインコースビジネスを推奨しています。

オンラインコースビジネスは時間と場所が自由

私自身、2024年は働き方、働く時間の配分を変えてきました。

土日休みたいと思うようになり、月〜金は頑張るけど、土日はもう少し仕事に関係のない本を読みたい、全く違うことをしたいという気持ちが出てきました。それは、月〜金を詰めてやっているからということもありますが。

それが可能なように、仕事の仕方を変えています。これは、オンラインコースビジネスだからこそできる働き方です。

納期はないし、誰かとコラボで仕事をする場合は別ですが、年間のコンサルティングでも、毎日日報を添削して、毎週ミーティングがあるという時間は、それほど多くありません。

自分のペースでオンラインコースを作って、自分が売りたいときに売って、納品も決済も自動でできる。時間的にはかなり自由な働き方ができます。

言語交換アプリで再認識したリモートワークの魅力

最近、タンデムというアプリで言語交換をしています。私は英語を学びたい日本語話者で、英語を喋れて日本語を学びたい人とマッチングして、テキストやチャットで、お互いの言語で日常会話をやり取りしています。

相手はエンジニアやIT関係の仕事で東京に来ている人が多く、私が完全在宅でオンラインコースビジネスをやっていると言うと、「それはすごくいいね」と言われます。

私がタンデムをやるのは大体お昼ご飯の後ぐらいで、「あなたは今日仕事ですか」と聞かれるので、「今日は仕事なんだけど、今休憩なんだよね」と言って、「何時まで働くの」と聞かれたら、「夕方ぐらいまでかな」と答えることもあります。すると、「君が羨ましいよ」と言われたりします。

体力があるうちに未来のための働き方改革を

私がこの働き方ができるのは、少なくとも10年前からネットビジネスという形で、アフィリエイトや自分のコンテンツを作って販売し、集客も全部自分でやってきたからです。

これから一から習得するという方は、できるだけ急いで始める方が良いでしょう。

使える体力が減っていくということは、使える時間が減っていくということでもあります。ナダル選手のように、気持ちがあっても体がノーと言ってしまうかもしれません。

できるだけ体力があるうちにしんどいことを済ませておく方が後々楽だし、やりたいことをやれるのではないかと、ナダル選手の引退記事を読んで思いました。

いろいろなことが起こってきます。きっと、あと何年か経ったら、私は60代の人が言っていたことや振る舞いを理解できるようになり、その先、70代になったら、70代の患者さんやご家族が言っていたことが分かるようになる。それがちょっと楽しみだったりもします。

ナダル選手、お疲れ様でした。私たちは私たちで頑張っていきましょう。それでは、また。