無形商品や無形サービスの購入前に行われる「相談」について、その必要性や、相談を受ける側の視点も含めて、詳しくお話ししていきたいと思います。
無形商品購入の難しさと、有形商品との決定的な違い
無形の商品やサービスは形がないため、実際に購入を検討する際に、その価値や自分に合っているかどうかを判断するのが非常に難しいですよね。手に取って見ることも、試すこともできない。だからこそ、購入に踏み切るには、それなりの勇気や自分なりの判断基準が必要になります。
一方、有形商品、例えば楽天やAmazonで売られている商品や、実店舗で販売されている商品であれば、購入前に確認できる情報がたくさんあります。実際に商品を手に取って、素材感やサイズ感を確認できますし、オンラインショップであれば、詳細な商品説明や、購入者のレビューを参考にすることもできます。さらに、最近では、返品可能なシステムを導入しているショップも多く、購入へのハードルは、無形商品に比べて格段に低いと言えるでしょう。
私自身、先日、プロフィール写真の撮影のために、ZOZOTOWNで何着か洋服を購入しました。ある程度、自分のイメージに合う服を、サイズ違いでいくつかピックアップし、まとめて注文しました。もちろん、試着してみて、合わなければ返品する前提です。実際に着てみて、サイズ感や生地の厚さなど細かい部分を確認し、最終的に残す服を決め、残りは返品する予定です。
このように、有形商品であれば、注文の段階でも、商品の身幅や着丈などの詳細なサイズが記載されていますし、レビューも充実しています。例えば、「身長166cm、体重53kgで、普段はLサイズを着ています。この服は、こんな感じの着心地でした」といった具体的な感想や、実際に着用した写真が掲載されていることもあります。これらの情報があれば、購入前の判断材料になりますし、返品可能なシステムがあれば、さらに安心して購入できますよね。このような場合、購入前の相談は、基本的に発生しません。
無形サービスにおける購入判断の難しさと私の購入基準
では、私が提供しているようなオンラインコースや、コンサルティングといった、無形サービスの場合は、どのように購入を判断すれば良いのでしょうか。形がなく、試すこともできない。正直、最後は自分で決めるしかない、というのが実情です。
私自身がどのように購入を判断しているかというと、実は、Facebook広告を参考にすることが多いです。私は、英語圏のマーケティングやオンラインコースビジネスに興味があり、関連するFacebookグループに参加したり、教材を購入したりしています。そうすると、Facebookのフィードには、英語圏の広告が多く表示されるようになります。
大抵、低単価の商品を紹介しています。17ドル、29ドル、高くても49ドル程度。まずは、その中で、「面白そうだな」と思った広告の商品を購入してみることから始めます。そして、実際に商品やサービスを体験してみて、さらに上位の商品を購入するかどうかを判断します。
また、提供者の名前が分かる場合は、その名前で指名検索を行い、あらゆるメディアでの活動をチェックします。どのような発信をしているのか、どのような活動実績があるのか、利用者の声はどうなのか、といった情報を収集します。さらに、その提供者のキャラクターや、考え方なども確認し、総合的に判断して、最終的に購入するかどうかを決めています。つまり、私自身は、無形サービスを購入する際に、いわゆる「購入前相談」をしたことが、ほとんどありません。
私が購入前相談を受けない理由
一方で、私が提供している無形サービスについて、購入を検討されている方から、ご相談をいただくこともあります。例えば、「このサービスを購入したら本当に成果が出るのでしょうか?」「私でも取り組むことができるでしょうか?」「いついつまでに、これくらいの成果を出すことは可能ですか?」といった内容です。
しかし、私は、基本的に、購入前の相談に対して、積極的なお返事はしていません。その理由は、購入は、最終的には自分で決断するものだと考えているからです。
「自分で決断するもの」という考えは、私自身の経験に基づいています。購入前相談をされる方は、多くの場合、不安が強く、さまざまな確認を求めてこられます。もちろん、不安な気持ちはよくわかります。しかし、相談をされる方は、私とは根本的に考え方が異なる方が多いように感じています。そのため、仮に購入されたとしても、ご満足いただけない可能性が高いと考えています。
また、メニューに申し込まれた方に対して、私からお断りするケースもあります。これは、ご本人のためを思い、受講を控えていただく方が良いと判断した結果です。例えば、お申し込みいただいたサービスが、その方の現在の状況や目指すゴールに合致しないと判断した場合は、「こういう理由で、お控えいただいた方が良いのではないでしょうか」といった具体的なアドバイスをさせていただくこともあります。
購入前相談の背景は不安と保証への強い欲求
購入前相談をされる方に共通しているのは、「不安が強い」ということです。
「自分がこのサービスを利用して、本当に成果が出るのか」「いついつまでに、どれくらいの成果が得られるのか」「例えば、〇年以内に、オンラインコースでいくらくらいの不労所得を得たいけれど、このプログラムで実現可能か」など、具体的な数字を挙げて、確認される方も多くいらっしゃいます。
しかし、正直なところ、その方がどれくらいのスキルを持っていて、どれくらいのペースで取り組めるのかは、実際に始めてみないと分かりません。同じプログラムでも、人によって、成果が出るまでの時間や、最終的な成果は大きく異なります。
これは、ダイエットに例えると、非常に分かりやすいと思います。
どれだけ優れたトレーナーが、完璧なダイエットプログラムを用意してくれたとしても、それを実践する本人が、どれだけプログラムを守れるか、どれだけ積極的に取り組めるかによって、得られる結果は大きく変わってきます。つまり、本人の取り組み方次第で、結果は大きく左右されてしまうのです。
ですから、「あなたがこのプログラムに取り組んだら、必ずこれだけの成果が出ます」と断言することはできません。「それについては、私には分かりかねます」というのが、正直な回答になります。
もちろん、大まかな目安をお伝えすることは可能です。例えば、「今まで、ビジネスの経験がこれくらいあって、動画編集もできます。そんな私が動画講座を作るのはどうでしょうか?」というご相談であれば、「動画編集の経験がない方と比べれば、成果が出るのは早いでしょう。ただ、未経験の方でも、努力次第でいくらでも追いつくことは可能です」といったアドバイスはできます。しかし、その方が具体的にどのような成果を出せるかは、実際にやってみなければ分からないのです。
相談される方の多くは不安が強く、自分が思い描くような成果が得られるか、確証を得たいと考えています。つまり、「保証」を求めているのです。
初めての挑戦への不安に向き合う方法
不安な気持ちは、非常によく分かります。特に、初めてのこと、やったことがないことに挑戦する時は、誰でも不安を感じるものです。女性は、「女の子はこうあるべき」といった、昭和の刷り込み教育を受けてきた世代も多く、「知らないことは怖いこと」「やったことがないことは怖いこと」と、無意識に思い込んでしまっている方も少なくありません。
しかし、一方で、女性は現実的で、思い切りが良い面もあります。「やってみないと分からないから、とりあえずやってみる」と、一歩を踏み出す方も、実は多くいらっしゃいます。つまり、初めてのことは、誰でも怖いのです。そして、その不安を解消するためには、「実際にやってみる」しかありません。
やってみて、「やっぱり怖いな」「自分には合わないな」と感じたら、次からやらなければ良いだけです。
また、自分が思い描く期間内に、期待する成果(例えば、売上など)が出るかどうかを知りたいという方は、言い換えれば、「保証」を求めていると言えます。「無形商品や無形サービスを購入する前に、成果を保証してほしい」「成果が出なかったら、返金してほしい」というような、いわゆる「成果保証」を期待されているのかもしれません。
しかし、繰り返しになりますが、無形サービスに、保証はありません。その方のビジネス経験、家族環境、使える時間、集中力など、さまざまな要因が、成果に影響を与えます。成果を出すために必要な時間を、高い集中力で取り組めるかどうかは、その方次第です。
例えば、私自身、最近、ウォーキングをサボりがちです。夏は暑くて外に出る気になれず、「涼しくなったら始めよう」と思っていたら、もう寒くなってきてしまいました。これでは、当然、成果は出ません。そして、仮にウォーキングを始めたとしても、100歩で帰ってくるのと、1,000歩歩くのと、1万歩歩くのとでは、得られるリターンは大きく異なります。そこに、保証など存在しないのです。
お小遣い稼ぎ、副業、事業の違いと自己決断の重要性
無形商品や無形サービスの購入を検討される方には、副業として取り組みたい方、事業として本格的に取り組みたい方、お小遣い程度に収入を得たい方など、さまざまな方がいらっしゃいます。それぞれの目標によって、取り組む姿勢や、かける時間も変わってくるでしょう。
副業として、副収入を月に数万円得たいという方もいれば、お小遣い程度、例えば1万円前後の収入で十分という方もいます。お小遣い程度と言っても、毎月1万円を稼ぎ続けるのは、それなりの努力が必要です。いずれにしても、どのような目標であれ、最終的に決断するのは、自分自身です。
特に、無形商品や無形サービスを販売して、お金を得ようと考えているのであれば、決断力は必須です。何かを決めるたびに、人に相談していては、ビジネスは前に進みません。自分が勉強するための道具を買うかどうか、その決断すら、人に委ねてしまう。これは、いわゆる「購入前相談」です。そのような状態では、その先、自分がどれだけのコミットメントをするか、どれだけの時間を使うか、といった重要な決断も、自分で行うことは難しいでしょう。
例えば、今、10分空いた時間があるとして、その時間を何に使うか。YouTubeを見るのか、Xを見るのか、ネタ出しをするのか、オンラインコースに使う画像を選ぶのか。時間の使い方は、無数にあります。これも、小さな決断の積み重ねです。そして、その小さな決断の一つ一つが、最終的な結果に反映されていきます。
購入前相談で私が確実にお答えできる唯一のこと
ここまでお話ししてきたように、私は、基本的には、購入前相談に対して積極的なお返事はしていません。しかし、唯一、確実にお答えできることがあります。それは、決済方法に関する質問や、銀行振込の可否、セールスレターの情報不足など、判断に必要な具体的な情報についてです。
例えば、「クレジットカードはこの種類しか持っていないのですが、決済できますか?」「銀行振込を希望していますが、対応してもらえますか?」といったご質問には、確実にお返事いたします。また、セールスレターに、必要な情報が不足している場合は、その情報を追加するなど、判断に必要な材料はできる限り提供させていただきます。
しかし、最終的な判断はご自身で行っていただく必要があります。それができなければ、この先、お金を稼いでいくことも人にサービスを提供していくことも難しくなってしまいます。
オンラインコースビジネスも決断の連続
オンラインコースを作成する際も、どのマイクを買うか、どの編集ソフトを使うか、どのような編集方法が適しているかなど、数えきれないほどの「決断」の連続です。全てに正解はありません。実際に購入してみて、試してみて、自分の環境に合うかどうかを判断するしかありません。
私自身、これまでに20個ほどのマイクを購入してきました。安いものも含めて、ワイヤレスマイク、ピンマイク、据え置き型のマイク、ヘッドセットなど、様々なタイプのマイクを試してきました。その時々でパソコンとの相性もありますし、収録する部屋の環境によっても最適なマイクは変わってきます。つまり、同じ人間が同じ目的で使う場合でも、その時々で最適なマイクは異なるのです。
編集ソフトについても同様です。ある人にとっては使いやすいソフトでも、私にとっては使いづらい、あるいは、私がやりたい編集ができない、ということもあります。結局は自分で購入して実際に使ってみて、結果を受け入れていくしかないのです。
オンラインコースは作って終わりではありません。作ったコースが売れるかどうかは、また別の問題です。売れないことも当然あります。私も失敗したコースはたくさんあります。しかし、それも、自分の決断の結果として受け入れていくしかありません。
購入前に相談したい気持ちと向き合って
もし、購入前相談をしたのに私から返事がない場合は、ぜひこの話を思い出して、今一度、ご自身の考えを整理してみてください。
もちろん、購入前の相談に親身になって答えるというスタイルの方もいらっしゃると思います。そして、私自身もかつてはそのような対応をしていました。しかし、それが本当に相談者のためになっているのか、疑問を感じるようになったのです。
購入前に相談を繰り返すことで決断できない時間ばかりが増えていく。これは、非常にもったいないことです。やるか、やらないか。今すぐ決める。あるいは、「今はやらない」という決断をする。そして、今は別のことに集中し、また興味が湧いたときに戻ってくれば良いのです。
相談に乗り続けても結局、二人で同じところをぐるぐると回っているだけだな、という状態に気づき、私は基本的に購入前相談をお受けしないことにしました。
この話を聞いて、あなたはどう思われましたか?