Kindleのガイドラインに準拠していること
Kindleで本を作る際に、どんな内容で書籍の原稿を作るか、ということを考える前に、まず、Kindleのガイドラインに準拠している必要があります。
以下、2つを参照してください。
というところに、その内容があります。
1. コンテンツガイドライン (https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200672390)
こちらのガイドラインは、Kindleストアで販売する本の「内容」が満たすべき基準について定めています。大きく分けて、以下の3つの観点からルールが設けられています。
- 禁止されているコンテンツ
- 読者の不快感を招くコンテンツ:ポルノ、露骨な性的描写、ヘイトスピーチ、暴力の助長など。
- 違法または権利を侵害するコンテンツ:著作権、商標権、肖像権などを侵害するもの、プライバシーを侵害するもの、違法行為を助長するものなど。
- 誤解を招くコンテンツ:虚偽の情報、詐欺的な内容、読者を誤解させるようなタイトルや表紙など。
- その他:公序良俗に反するもの、Kindleストアの信頼を損なうものなど。
- 知的財産権
- 著作権、商標権、その他の知的財産権を尊重すること。
- 権利者に無断でコンテンツを使用しないこと。
- パブリックドメインのコンテンツを使用する場合は、その旨を明記すること。
- カスタマーエクスペリエンス(読者の満足度)
- 読者の期待を裏切らない、質の高いコンテンツを提供すること。
- 誤字脱字、レイアウトの崩れ、内容と異なる表紙などを避けること。
- 読みにくい、理解しにくいコンテンツは避けること。
2. Kindle コンテンツの品質ガイド (https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/G200952510)
こちらのページでは、Kindle本の「品質」に関する問題点と、それに対するKDPの対応について説明しています。主な内容は以下の通りです。
- 品質上の問題の例
- 誤字脱字、文法ミス:読書体験を損なうため、修正が必要。
- 不適切なフォーマット:目次がない、画像が適切に表示されない、レイアウトが崩れているなど。
- 内容と異なる表紙やタイトル:読者を誤解させるため、禁止。
- 不完全なコンテンツ:内容が途中で終わっている、必要な情報が欠落しているなど。
- 読みにくいコンテンツ:文字が小さすぎる、行間が狭すぎるなど。
- 品質問題への対応
- KDPは、品質に問題がある本を検出し、著者に修正を求めることがある。
- 修正されない場合、その本は販売停止になる可能性がある。
- 重大な品質問題がある場合は、アカウントが停止される可能性もある。
- 著者向け情報
- Kindle Previewer などのツールで、出版前に品質を確認するように推奨
- 読者からのフィードバックを参考に、必要に応じて内容を修正することを推奨
まとめ
- コンテンツガイドライン:「何を書くべきか(書いてはいけないか)」という内容面のルール
- Kindle 本の品質に関するお知らせ:「どのように書くべきか」という品質面の注意点
と理解すると、整理しやすいかと思います。これらを守りながら内容を考えていきましょう。
Kindle本にはリフロー型と固定レイアウト型がある
書籍の内容によってはKindle本の形式が制限される場合があるので、ここで先にKindle本のレイアウトについて触れておきます。
リフロー型と固定レイアウト型の違い
電子書籍のフォーマットには主にリフロー型と固定レイアウト型の2種類があります。それぞれの特徴、メリット、デメリットを以下に詳述します。
リフロー型
特徴
リフロー型は、テキストデータを主体とした形式で、表示するデバイスの画面サイズに応じてレイアウトが自動的に調整されます。これにより、PC、タブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスで快適に読むことができます。
メリット
文字の大きさや行間を自由に変更できるため、読者は自分に最適な読みやすさを設定できます。
ハイライト機能やリンクの目次、読み上げ機能などが利用可能です。
デメリット
レイアウトが柔軟であるため、ページ数やレイアウトが変更されることがあり、特に図や表が多い場合には見づらくなることがあります。
固定レイアウト型
特徴
固定レイアウト型は、ページのレイアウトが固定されており、どのデバイスでも同じ見た目で表示されます。主に絵本や写真集、デザインが重要な書籍に使用されます。
メリット
デザインが意図した通りに表示されるため、特に画像や図表が多い書籍に適しています。また、ページのレイアウトが変わらないため、紙の本と同様の体験が得られます。
デメリット
文字の大きさやフォントを変更できないため、視覚的な制約があります。また、データが重くなることがあり、特にスマートフォンでは読みづらくなることがあります。
リフロー型と固定レイアウト型の違いのまとめ
リフロー型はテキスト中心のコンテンツに適しており、読者の好みに応じてカスタマイズ可能な柔軟性があります。一方、固定レイアウト型はデザインが重要な書籍に向いており、視覚的な一貫性を保つことができます。著者や出版者は、コンテンツの特性に応じて適切なフォーマットを選択することが重要です。
リフロー型と固定レイアウト型の選択時期と考慮点
電子書籍を制作する際、リフロー型と固定レイアウト型のどちらを選ぶかは、コンテンツの特性や目的に応じて重要な決定事項です。この選択は、主に以下の段階で行われます。
1. 企画段階
コンテンツの特性を考慮
まず、どのような内容の書籍を作成するかを企画する段階で、リフロー型か固定レイアウト型かを考える必要があります。リフロー型はテキスト中心の書籍(小説やノンフィクションなど)に適しており、固定レイアウト型は画像や図表が多い書籍(絵本や旅行ガイドなど)に向いています。
2. 執筆とレイアウト設計
執筆の進行に合わせて決定
執筆を進める際に、内容がどのように展開されるかを考慮し、レイアウトの設計を行います。この段階で、リフロー型ではテキストの流動性を重視し、固定レイアウト型ではページデザインを固定することを意識します。
3. デザイン段階
デザインの選択
デザイン段階では、選択したフォーマットに基づいて具体的なレイアウトを決定します。リフロー型の場合、フォントサイズや行間の調整が可能であり、固定レイアウト型ではページのデザインを詳細に設定する必要があります。
4. 出版準備
最終的な確認
出版準備の段階で、選択したフォーマットがコンテンツに適しているかを再確認します。特に、読者の体験を考慮し、どちらの形式がより効果的かを検討することが重要です。
まとめ
リフロー型と固定レイアウト型の選択は、企画段階から始まり、執筆、デザイン、出版準備の各段階で考慮されるべき重要な要素です。コンテンツの特性や読者のニーズに応じて、適切なフォーマットを選ぶことが、成功する電子書籍制作の鍵となります。
Kindle本のテーマ決め・構成づくり
専門家や個人事業主の方は、自分の中にある情報が膨大すぎて、どこから整理したらいいか分からないというケースも多いです。ここでは、体系化やトピックの切り出しに役立つステップや考え方をいくつか提案します。
- ゴール設定を先に → 「この本を読んだら読者がどう変わるか」を明確に
- アウトライン先行型 → 目次を作り、章ごとの小見出しをざっと書き出す
- 書きやすい構成の型(Q&A形式、ステップ形式など)を使うとラク
- 自分が当たり前と思う体験談・エピソードこそ他人にとって価値があるので、積極的に盛り込む
- 情報量が多すぎるなら、まずは基礎部分だけに絞った一冊にする
「ターゲット」と「ゴール」をまず決める
ターゲットを決める:読者は誰か?何を得たいのか?
漠然と「いろんな人に読んでほしい」と考えると、内容が広がりすぎてしまいます。たとえば「初心者向けにAという問題を解決できるようになる本」とか、「専門領域の基礎を最短で学べるガイド」など、具体的に読者を想定します。
自分のビジネスに繋げるために出すのであれば、将来的にどんなサービス・商品に結びつけたいかを考えて、その入口になる読者層をイメージするのも良いです。
その本を読んだ読者が「どのように変化」していてほしいか?
読み終わった後、「これができるようになった」「これを理解できた」というゴールをハッキリさせると、書くべき内容が見えてきます。
このターゲットとゴールさえ決めてしまえば書くべきことが明確になります。私が手が止まるのは、ターゲットを見失ったり、ゴールが曖昧になったりしているときがほとんどです。
「目次(アウトライン)」を先に作る
本文を書き始める前に、まず目次づくりを行います。大まかに以下のステップで考えるとスムーズです。
1.テーマを一文でまとめる
例:「60代から始めるピアノレッスンのコツ」「エステサロン集客に役立つインスタ活用術」など。
「何を、誰に向けて書くか」を一文で言えるか確認。
読者が知りたい順番にトピックを並べる
「初心者なら、まず何から知りたいか?」
「中~上級の人が読むとしても、スタートラインはどう説明する?」
2.章の構成を考える
章のタイトルは「問題・課題」「解決方法の解説」「具体例」「実践ステップ」など、読者の行動を想定しながら作ってみる。
例:第1章「まずは心構えと基本用語」/第2章「具体的な手順」/第3章「よくある失敗例」……など。
3.章ごとにサブトピックを箇条書きにする
各章に入れたい項目をリスト化していく。
これだけで目次の下書きがほぼ完成します。
このように、先にアウトラインを作ってから本文を考えると、スムーズに執筆を進めやすいばかりでなく、横道にそれるのを防ぐことができます。私はDynalistというアウトライナーを使って骨組みとなる目次を作っています。
テンプレートを活用する
「そうは言ってもアウトライン自体が作れない!」という人にとっては、既存のテンプレートや型を使うと書きやすくなります。
Q&A形式
「読者が持ちそうな疑問・悩み」→「それに対する回答」という形で構成します。あなたの専門分野で、よくある質問を10個ピックアップして、その回答を1章ずつ書くなどを試してみましょう。商業出版でもよく見られるパターンです。
例:「これってお金はかかるの?」
「初心者が最初に覚えるべきコツは?」
「成功している人はどんな工夫をしている?」……
ステップバイステップ方式
読者がゴールにたどり着くための手順をステップで区切り、それぞれを章にする形式です。
例:「初心者向けブログ開設5つの手順」「誰でもできる肩こり解消術7ステップ」など。
こうした構成の型を当てはめると、自然に書く内容が定まるので、執筆がラクになります。
「自分の経験談」を織り交ぜる
専門家や個人事業主の方は、自分の経験を当たり前だと考えてしまいがちです。でも、読む側にとっては「それってどう乗り越えたの?」とか「実際どうだったの?」ということが一番面白いし役立つんですよね。
- 章ごとに「実体験コーナー」や「ケーススタディ」を入れる
- 自分の失敗談や成功談、実践のビフォーアフターなどを具体的に語る
すると、読み物として面白くなるし、読者にも響きやすいです。
執筆のハードルを下げるコツ
真っ白な画面と点滅するカーソルを眺めて何時間も経つ……という経験が私には何度もあります。焦るし、イライラしてしまいます。最初から文章を書くことが難しい場合のコツをいくつかお伝えします。
まずは話し言葉で書いて、後で整える
最初からきれいな文章にしようとすると進まないので、とりあえずラフな口語で文章化してみる。後から推敲して文体を整えると、筆が止まらずに済みます。
音声入力やAIツールを活用する
人によっては音声入力が向いている場合もあります。音声入力してから推敲するのも試してみてください。スマホの音声入力や、AIの下書き補助機能(テーマに沿って目次提案など)を使うととりあえず「たたき台」が早くできます。ただし、自分の言葉で最終チェックすることは必須です。専門家としてのあなた独自の視点が付加価値になることをお忘れなく。
SNSに投稿したものやブログ記事をまとめる
過去のコンテンツを元に内容を膨らませるのもおすすめです。SNSに投稿したものやブログ記事をまとめると一から考える必要がなく、さらに豊かな内容になります。
「何を省くか」を意識する
情報量が多すぎて書ききれない……というときは、大抵の場合、万人を対象にしようとしています。初心者向けなら初心者向けに特化した内容だけ、あるいは中級以上に特化など、ターゲットレベルを決めると書きやすいです。
例えば「いきなりマニアックな要素を全部入れると本が分厚くなりすぎる」「読み手の負担も増える」ので、第1作目は基礎編としてまとめるのもアリ。
どうしても入れたい高度な話は、後半の章かボーナス章、もしくは第2冊目に回すという形で構成できます。
実際の受講生やお客様の悩みをヒントにする
もしあなたが普段、コーチングやコンサルをしていて質問を受ける機会があるなら、「質問リスト」「受講生の成功事例や失敗事例」などを参考にして本の構成を組み立てるといいです。
実際の声から「ここでつまずきがちなんだな」とわかれば、それだけで1章分のテーマが作れることもあります。
「何文字書けばいい?」Kindle本の文字数の目安
「Kindle本を作りましょう」と言うと、「何文字書けばいいですか?」とよく聞かれます。
Kindle出版における電子書籍の場合、文字数の制限はありません。
電子書籍の最低ページ数として、明確なページ数の規定はありませんが、一般的には、最低2500文字、約5ページ相当が推奨されています。これは、読者が満足できる内容を提供するための目安です。しかし現実的には、5ページの電子書籍をAmazonで見かけることはほとんどありません。
Kindle出版における1ページあたりの文字数について
Kindle出版における1ページあたりの文字数は、フォントサイズや行間、ページ設定によって異なるため、明確な基準は存在しません。しかし、一般的な目安はあります。
- 一般的な文字数の目安
- 250〜300文字:多くの情報源では、Kindleの1ページあたり、おおよそ250〜300文字とされています。これは、通常のフォントサイズで設定された場合の平均的な数値です。
- 350〜500文字:図表や画像が含まれない場合、1ページあたり350〜500文字を目安にすることもあります。
- 1,000文字あたり4ページ:1,000文字が約4ページに相当するとされており、これを基に計算すると、1ページあたり約250文字となります。
- ページ数の変動要因
Kindleでは、読者がフォントサイズや行間を自由に調整できるため、同じ内容でも表示されるページ数は変わります。これにより、同じ原稿でも異なるデバイスや設定で異なるページ数が表示されることがあります。
ただし、ページ数よりも内容の質が重要視されるため、単にページ数を満たすことを目的とするのではなく、読者にとって価値のある情報を提供することが求められます。
ペーパーバックのページ数について
次に、ペーパーバックの最低ページ数です。
KDPでのペーパーバック出版においては、最低24ページ必要です。これは、印刷物としての体裁を整えるための基準です。ページ数は4ページ単位で増やすことができ、最大ページ数は、選択する印刷オプションによって異なります。
まとめ
Kindle出版におけるページ数、文字数の要件は、出版形式によって異なるため、著者はそれぞれの基準を理解して、適切な内容を準備することが重要です。電子書籍の場合は、おおよそ250〜500文字の範囲で1ページを考えると良いでしょう。ただし、最終的な文字数はフォントサイズや行間の設定によって変動するため、具体的な数値は一概には言えません。
まとめ
- Kindle出版のガイドラインを遵守する
- ゴール設定を先に → 「この本を読んだら読者がどう変わるか」を明確に
- アウトライン先行型 → 目次を作り、章ごとの小見出しをざっと書き出す
- 書きやすい構成の型(Q&A形式、ステップ形式など)を使うとラク
- 自分が当たり前と思う体験談・エピソードこそ他人にとって価値があるので、積極的に盛り込む
- 情報量が多すぎるなら、まずは基礎部分だけに絞った一冊にする
- 電子書籍においては文字数の決まりはない