今日は、二極思考でいることの弊害についてお話ししたいと思います。
二極思考がもたらした苦い経験
かなり前のことですが、人とやり取りをしていて、すごくナーバスになってしまったことがありました。その理由を考えてみたところ、相手の方が二極思考だったからではないかと思い至りました。
その方は、普通の会話の中で「How toを知りたい人と、もっと深い抽象的な話をしたい人の2つに分かれるけど、中野さんはHow toを知りたい人なんですね、分かりました」というふうに言ってきたのです。
私は、その言葉にひどく戸惑いました。なぜなら、「How toを知りたい人=考えが浅く、物事を深く捉えられない人」と断定されたように感じたからです。相手にそのような意図があったかは分かりませんが、私の中では「あなたは深い抽象的な話ができない人」と認定されたと感じ、とても傷つきました。そして、「この人の中では、考えの深さというのは、浅いか深いかの二択でしかないんだな」と思いました。
白黒思考が強すぎると陥る思考パターン
実は、私自身も白黒思考が強い傾向にあります。例えば、「できる・できない」や「ある・ない」というふうに、0か100かで考えてしまいがちです。いわゆる「0・100思考」や「白黒思考」と呼ばれるものです。周囲の人から「そんな極端に考えなくてもいいんじゃない?」と指摘されることもしばしばです。
例を挙げると、ダイエットをしたいと思ったとき、私の中では「1万歩歩くか、全く歩かないか」のどちらかしか選択肢がないというくらい極端な考え方をしてしまいます。その間の選択肢、例えば「少しでも歩く」という考えが抜け落ちてしまうのです。結果として、「1万歩歩けないならやる価値がない」と思ってしまい、何も行動できなくなってしまいます。
そんな経験から、私は「世の中にはもっとグラデーションがあるんだ」と意識するように心がけています。
二極思考の弊害、ビジネスにおける活動制限
「あなたはこういうタイプなんですね、分かりました」という言葉は、一見相手を理解したように聞こえます。しかし、人間はそんなに単純ではありません。たとえ同じタイプに分類されたとしても、そのタイプに当てはまる全ての人が同じ反応をするわけではありません。また、物事に取り組むスキルには習熟段階があり、その段階によっても反応は変わるはずです。
例えば、料理を全くしたことがない人には、まず道具の使い方、レシピ、材料、調味料、分量の測り方、調理器具の使い方など、基本的なHow toから教える必要があります。そうした基本を理解して初めて、アレンジ料理や、昨今の社会情勢に伴う家庭料理事情、フードロス、SDGsといった、より抽象度の高い話ができるようになるのです。料理をしたことがない人に、いきなりフードロスの話をしても、おそらく理解できないでしょう。
それは、その人がSDGsに関心がないとか、考えたくないということではなく、単に「分からない」だけなのです。むしろ、料理をしたことがないのに、フードロスや家庭料理におけるSDGsについて、とうとうと語る人の方が、私は危険だと感じます。もちろん、評論家であれば別ですが、やったことがないことを語る人にはなりたくありませんし、私にはなれません。
オンラインビジネスにおけるHow toの重要性
私にとって、オンラインビジネスやオンラインコースビジネスは、実際にやってみてうまくいった方法や失敗した方法をノウハウとして伝える仕事です。
「こうやったら失敗したから、これはやらない方がいい」という情報も、これから始める人にとっては貴重なHow toです。私自身、まだやったことがないことはたくさんあります。TikTokもやったことがないですし、YouTubeも始めたばかりです。いわゆるショート動画を使いこなすことも、LinkedInを活用することも、まだ経験がありません。そうした未知の分野については、まずHow toから学ぶしかありません。
それなのに、そうしたフェーズにいる私に対して、「あなたは浅い人ですね」と言われたら、「ちょっと待って」と思いますし、とてもつらかったです。
過去のアフィリエイター時代の経験と「評論家」の存在
思い返してみると、私がオンラインコースビジネスを始める前にアフィリエイターをやっていた頃、そうした「評論家」のような人がたくさんいました。彼らは、自分では一切コンテンツを出さず、他人のノウハウを批判ばかりしていました。
「あの人のノウハウはくだらない」「再現性がない」「無料情報のレベルだ」など、批判ばかりで、自分自身は有料教材も無料コンテンツも一切出さない。そうした、いわゆる「評論家」のような人が多く存在したのです。「ああ、あの時の状況と似ているな」と思いました。
二極思考がもたらすビジネスへの悪影響
二極思考の人は評論家になりがちです。そして、その思考パターンはビジネスにも悪影響を及ぼします。
例えば、「月商が多くなければビジネスをやっているとは言えない」「フォロワーが多くなければならない」というふうに思い込みが強くなり、自分の活動を制限してしまいがちです。
私自身、今Instagramをやっていますが、フォロワー数はごくわずかです。二極思考が強い人から見れば、「中野さん、フォロワーたったこれだけ?これではInstagramをやっているとは言えないよね」というふうに見えるかもしれません。そうした思考にとらわれてしまうと、自分がどんどん動きづらくなってしまいます。例えば、「Instagramをやっていると言えるようになるためには、1万フォロワーはいないといけない」というふうに、自分で自分に縛りを作ってしまうのです。
私がなかなかYouTubeを始められなかったのも、「カメラ、照明、素敵な家、凝った編集、目を引くサムネイルが必要」など、いろいろなことを考えすぎて、できなくなってしまっていたからです。Instagramについても、「インスタ映えする写真を撮ることができない」「リールで顔を出すことができないから、フォロワーを増やすことはできない。つまり、私はInstagramをやっているとは言えない」というふうに、どんどんがんじがらめになっていきました。
二極思考がもたらす低単価労働の罠
これは、趣味やプライベートならまだしも、仕事としてやっていくとなると大問題です。なぜなら、二極思考が強いと、低単価でしか仕事を引き受けられなくなってしまうからです。
「こんな私が、仕事を有償で引き受けてはいけない」「私なんかが高いお金を頂いてはいけない」というふうに、自分で自分に縛りを作ってしまいます。確かに、お金をいただくということは責任が発生するということではありますが、「安くしておけば文句を言われないだろう」と思ってしまったりしませんか?
私自身、アフィリエイター時代に、この葛藤を長い間抱えていました。「安くしておけば文句言われないよね」というマインドがあり、「自分ごときが高単価を要求できない。なぜなら、自分みたいな人に何か言われそうだから怖い」という思考に陥っていました。
この葛藤は、今でも私の中にあります。「この単価で大丈夫かな?」と思うこともあります。しかし、逆に考えてみると、私が誰かに仕事をお願いしたり、誰かのサービスを購入したりするとき、その人が有名だから、フォロワーが多いから、売上が多いから、実績がすごいから、という理由だけで選んでいるわけではありません。もちろん、そういう理由で選ぶ人もいるかもしれませんが、私は違います。私が困っていることを、その人が得意だから助けてもらう。そして、そこに対価が発生する。ただそれだけなのです。
二極思考から脱却し、ビジネスを加速させるために
二極思考や白黒思考になりがちな人は、おそらく自分では気づいていないと思います。私もそうでした。
気づいていない人に、このメッセージが届くかどうかは分かりませんが、もしあなたが「評論家になりやすい」「自分がサービスを提供し、対価をいただくことに抵抗を感じる」というのであれば、自分が「評論家モード」になっていないか、そしてその背後に「二極思考」が潜んでいないかを、一度考えてみてください。
そうでないと、本当は起業したい、お金を稼ぎたい、サービスを提供したいと思っているのに、ずっと評論家や業界ウォッチャーであり続けるという、もったいないことになってしまいます。
もし何か思い当たるところがあったら、「そんなことはないよ」「0から100の間にはいろいろなグラデーションがあり、いろいろな段階があるんだよ」「みんな0からスタートして、1、2、3と刻んでいくんだよ」ということを思い出してください。
自分で自分をがんじがらめにする必要はありません。二極思考から脱却し、ビジネスを加速させていきましょう。
それでは、また。