法的に必要な個人情報の公開
フリーランスと個人情報公開の法的義務
昭和生まれがフリーランスになる際に困ることの一つに、法的に必要な個人情報の公開があります。個人事業主がオンラインビジネスを行う際には、「特定商取引に関する法律」(以下、特商法)に基づき、事業者の氏名(名称)、住所、電話番号をホームページなどに公開する必要があります。業種によっては、他の法律に基づいて公開すべき情報も出てきます。
また、Stripeなどの決済事業者やプラットフォームごとにも、必要な個人情報の公開が定められている場合があり、それに従わなければなりません。
例えば、特商法ガイドでは、通信販売における規制対象が明記されています(詳細はご自身で最新情報をご確認ください)。決済プラットフォームであるStripeも、日本の事業者アカウントに対し、特商法に基づく表記ページの作成方法を説明し、必要な項目をリストアップしています。これらの情報を適切に表示しない場合、Stripeのサービス利用が承認されない可能性を明示しています。
さらにStripeは、ビジネスのウェブサイトに最低限含めるべき情報として、提供する商品やサービスの詳細な説明、取引通貨、カスタマーサービスの連絡先(電話番号、メールアドレス、住所)、返品・返金ポリシー、法規制や輸出制限(該当する場合)、プライバシーポリシー、利用規約、セキュリティ機能とポリシーなどを定めています。取引通貨については、顧客の居住国によって対応が必要となる場合があります。
あなたの特商法に基づく情報 公開状況は
では、ワークです。あなたは特商法に基づく表記のページに情報を公開していますか。「全て公開している」「一部伏せて公開している」「公開していない」のいずれかを選んでください。
もし、特商法に基づく表記のページに情報を公開していない、あるいは一部しか公開していない(何かを伏せて公開している)場合、その理由は何でしょうか。「住所を特定されてストーカー被害に遭うのが怖い」など、いろいろな理由があると思います。それをワークシートに記載してみてください。
リスクとベネフィットを天秤にかけてみよう
フリーランスのリスクとベネフィット 公開と匿名の狭間で
法律で定められているとはいえ、プライバシー侵害のリスクが怖いので個人情報の公開は最小限にとどめたい、という気持ちはよくわかります。私も同じです。しかし結論から言うと、匿名でお金を稼ぐには限界があると私は思っています。この後、その理由についてもお話ししますが、最終的にはあなたの選択次第です。
考えてみると、昭和の時代、我が家はサラリーマン家庭でしたが、世の中はサラリーマンをやるか、お店や工場などで商売をやるかの二択に近い状態でした。工場があればその場所は誰でもわかりますし、お店をやっていれば店舗の所在地は明らかです。店舗と自宅が一緒というお店も多かったはずです。
私の同級生にはお米屋さんを営む友達がいました。1階がお米屋さんで2階が自宅。その友達の家に遊びに行くと、2階の部屋に上げてもらい、お米屋さんでしか手に入らなかった「プラッシー」(関西限定だったかもしれません)というジュースを出してもらえるのが楽しみでした。このように、自宅の住所イコールお店というケースもあれば、自宅とお店が別々の子もいました。
近所に住んでいた斉藤君という同級生の家は、私の家の斜め向かいでしたが、お店は市場の中にありました。市場で八百屋さんを営んでいたのです。このように、自宅と店舗が離れていても、名前もわかっていますし、だいたい通える範囲の距離感なので自宅も把握できる。そうした中で商売を営んできました。
今でも実店舗を持っている方は、そこに店舗があり、営業時間内は店に立っているわけで、プライバシーを完全に守るということはなかなか難しいのが実情です。オンラインになったからといって、何もかも隠して匿名でお金を稼ぐというのは、それほど都合のいい話ではないだろうと私は思っています。
匿名で稼ぐ限界とあなたの葛藤
さて、ここでのワークは特にありません。「匿名でお金を稼ぐには限界がある」。わかってはいるけれど、私も葛藤しました。ここでは、あなたの今の選択や葛藤を書き出してみるといいと思います。どのような葛藤があるのか、ワークシートで言語化してみてください。