Kindle出版2.Kindleに関する基礎知識と出版準備~Amazon KDPアカウントの登録

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目次

Kindleとは

Kindle出版とは、アマゾンが提供するセルフ出版サービス「Kindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)」を利用して、電子書籍を出版することです。出版した電子書籍は「Kindle本」と呼ばれ、アマゾンの電子書籍ストア「Kindleストア」で販売されます。Kindle本は、Kindle端末だけでなく、スマホやタブレットにKindleアプリをインストールすれば読むことができます。

Kindle出版の目的

Kindle出版の目的は人それぞれですが、以下のものが挙げられます。

  • 自分の考えや知識を伝えたい
  • 自分の作品を多くの人に見てほしい
  • ビジネスの販促や集客に活用したい
  • 印税収入を得る目的の場合、従来の出版方法と比べて、以下のようなメリットがあります。
    • 費用をかけずに出版できる
    • 自分のペースで出版できる
    • 読者への直接販売が可能

Kindle出版は、誰でも自分の本を出版できる画期的なサービスと言えます。

Kindle出版のメリット

ここではKindle出版のメリットについてお話しします。

1. Amazonのプラットフォームの魅力

最大のメリットは、Amazonの巨大な集客力を利用できることです。「あなたの知識や経験」を「それを必要としている人」に届けられるのです。数ある電子書籍の出版プラットフォームの中でも、Amazonのユーザー数は圧倒的です。多くの人に本を手にしてもらいやすい、つまり、あなたの本と読者が出会いやすいということです。

2. 時間や場所に捉われずに活動できる

時間や場所を選ばずに活動できることも魅力です。一度出版した本は継続して販売され、収入も継続します。

3. 自己成長と専門家としての認知獲得

執筆を通して、自分の知識や経験を整理し、スキルアップできることもメリットです。さらに、Kindle出版をきっかけに、商業出版への道が開ける可能性もあります。自分の専門性を発信し続けることで、その道の第一人者として認知されることも夢ではありません。

4. プライバシーの保護

また、ペンネームを使えば、プライバシーを守りながら活動できます。著者の本名を公にしたくない場合でも、実名を出さずに出版できます。副業を行うのにも適しています。

5. 複数のペンネームでブランディング構築できる

さらに、Kindle出版では、1つのアカウントで複数のペンネームを使い分けられます。ジャンルやテーマごとに異なるペンネームを設定することで、読者に対して一貫したイメージを提供できます。例えば、私が「中野琴子」という実名で、お料理の本を出したり、マーケティングの本を出したり、投資の本を出したりすると、何をやっている人かよく分からなくなってしまいます。ですが、ペンネームを分けて、それぞれのペンネームについて、1つのジャンル、テーマについて出版していくことで読者の混乱を防ぐことができます。

ペンネームの付け方を工夫することで、それぞれの分野でブランディングすることもできます。ビジネス書であれば専門的な印象の名前、小説であれば想像性豊かな名前を使うなど、目的に応じて使い分けましょう。また、自分自身の匿名性を保つためにも、複数のペンネームが役立ちます。特定のテーマについて、著者自身のイメージに左右されずに発信したい場合には、ペンネームの使い分けが有効です。

Kindle出版の種類

Kindleで出版できる種類についてお話しします。

Kindle出版には、KDPセレクトと、それ以外の2つの出版形式があります。また、電子書籍だけでなく、ペーパーバックも出版できます。ここでは、まず、KDPセレクトのメリット、デメリットから説明します。

KDPセレクトについて

KDPセレクトは、Kindle本の販売促進プログラムです。登録すると、以下のようなメリットがあります。

メリット

  • ロイヤリティ、いわゆる印税が、販売価格の70%になる。(KDPセレクトを利用しない場合は、35%)
  • 読者が、Kindle Unlimitedで読めるようになるため、多くの読者に読んでもらう機会が増える。私自身、購入されるよりもKindle Unlimitedで読まれる方が多い。
  • Kindle Unlimitedの既読ページ数に応じたロイヤリティ(KENP)が得られる。
  • 無料キャンペーンやKindle Countdown Dealsを実施できる。

デメリット

  • Amazon以外のストアで売れない。(独占販売)
  • 価格設定は250円から1250円の間に限定される
    • 自由に価格を決めたい人には、価格が250円から1250円に制限されることは、デメリットと言えるでしょう。ちなみに、KDPセレクト以外の場合は自由に価格設定できます。

ペーパーバック出版

Kindleでは、電子書籍だけでなく、ペーパーバック、つまり、紙の本も出版できます。

ペーパーバックは印刷本なので、ページ数の概念があり、電子書籍のように端末で文字の大きさを変えて読むことはできません。ペーパーバックを出版する場合、Kindle電子書籍とは別に、専用の原稿を作る必要があります。

しかし、ペーパーバックには、電子書籍にはない活用方法があります。例えば、お店の開店の際のノベルティや、ワークショップの教材です。他には、ベビーダイアリー、来店カルテ、新人研修の報告書、講習会専用のノート、夢ノート、目標達成ノートなど。さらに、スポーツチームの活動記録ノート、ショップのオリジナルノート、イラストレーター作品のオリジナルノートなども作成できます。

ペーパーバックは、お客様が購入した時点で、Amazonが印刷し、お客様に配送する仕組みです。在庫を持たずに、注文が入った時点で印刷、発送できることは画期的です。

AmazonアカウントとKDPアカウントの作り方(もし持っていない場合)

AmazonアカウントとKDPアカウントの作り方をご案内します。まだアカウントを持っていない方は参考にしてください。すでにお持ちの方はスキップしていただいて結構です。

Amazonアカウントについて

Kindle出版には、2種類のアカウントが必要です。Amazonのアカウントと、KDPのアカウントです。まずは、Amazonアカウントについて説明します。

Kindle Direct Publishing(KDP)を利用するには、Amazonアカウントが必要です。このアカウントは、Amazonでの買い物に使うものと同じです。すでにAmazonアカウントをお持ちの場合は、そのアカウントでKDPにサインインできます。お持ちでない場合は、KDPのウェブサイトでサインアップし、必要情報(名前、メールアドレス、パスワードなど)を入力して、新規作成します。

KDPアカウントについて

次に、KDPアカウントです。こちらはAmazonでの買い物用ではなくKindle出版専用のアカウントです。電子書籍やペーパーバックの出版に必要です。

KDPアカウント登録の手順

Amazonアカウントで、KDPのウェブサイトにアクセスします。

次に、アカウント情報を入力します。KDPにサインインした後、アカウント情報が不完全です、というメッセージが表示されるはずです。「今すぐ更新」をクリックして、著者情報や銀行口座情報、税務に関する情報を入力します。

KDPアカウントの注意点

注意点があります。KDPアカウントは、個人用と法人用の2種類がありますが、個人アカウントは、1人につき、1つだけ作成可能です。複数の個人アカウントを持つことはできません。ただし、個人アカウントと法人アカウントを併用することは可能です。

これらのアカウントを準備することで、Kindle出版を行う準備ができます。

ペンネームで出版できる?

ペンネームで出版したい場合のペンネームの設定方法をご案内します。実際に行うのは原稿完成後になります。

原稿が完成したら、アップロードするために、Kindle Direct Publishing (KDP) にログインします。書籍の詳細画面で、著者情報欄に移動し、「新しい著者名を追加」をクリックします。新しいペンネームを入力し、「保存」をクリックします。これにより、新たなペンネームの作成が完了します。同様の手順で、複数のペンネームを追加することができます。以上が、具体的なペンネームの作成方法です。

ただし、一部制約事項も存在します。KDPでは、一度に表示できるペンネームは3つまでとされています。これ以上のペンネームを設定したい場合、一度設定したペンネームを削除、または非表示にする必要があります。

あなたが認知の獲得や専門家としての権威性を得たい場合は、あなたの活動名と同じペンネームを使うのがおすすめです。

KDPアカウントにおける税務情報やロイヤリティ受取口座の設定

KDPアカウントを設定する際には、いくつかの重要な注意点があります。特に、税務情報の入力やロイヤリティ受取口座の設定は、出版プロセスにおいて非常に重要です。

税務情報の入力

KDPアカウントを作成する際、税務情報の登録が必須です。以下の点に注意してください。

  • 納税区分を選択する:自分が個人か法人かを選択する必要があります。日本人の場合、米国市民や永住者でない限り、「いいえ」を選択します。
  • 税務情報の正確性:正確な情報を入力しないと、将来的に税務上の問題が発生する可能性があります。特に、米国の税法に基づく情報が必要な場合がありますので、注意が必要です。

日本在住の個人が出版する場合は、KDPアカウントを設定する際にW-8BENフォームを提出する必要があります。このフォームは、非居住者としての地位を証明し、米国での源泉徴収税を軽減するために使用されます。W-8BENを提出することで、著者は米国の税法に基づく適切な税率を適用されることになります。実際にご自身がどのフォームに該当するかなど、詳細は税務の専門家に相談してください。

ロイヤリティ受取口座の設定

ロイヤリティとは、著作物の使用に対して著作者が受け取る報酬のことです。ロイヤリティを受け取るための銀行口座の設定も重要です。以下の点に留意してください。

  • 銀行口座情報を正確にする:口座名義や口座番号、金融機関コードなどを正確に入力する必要があります。特に、口座名義は登録した著者名と一致させる必要があります。
  • 振込方法を選択する:KDPでは、ロイヤリティの受け取り方法として直接振込が推奨されています。これにより、手数料がかからず、迅速に支払いを受けることができます。
  • 口座の種類を選択する:普通口座か当座口座かを選択する必要があります。これにより、ロイヤリティの振込がスムーズに行われます。

KDPアカウントにおけるその他の注意点

  • アカウント情報の更新:KDPアカウントを作成した後、アカウント情報が不完全である場合、更新を促されます。この際、必要な情報をすべて入力することが求められます。
  • セキュリティの確保:アカウントのセキュリティを確保するために、二段階認証を設定することが推奨されます。これにより、不正アクセスからアカウントを保護できます。

これらの注意点を守ることで、KDPアカウントの設定がスムーズに進み、出版活動を円滑に行うことができます。