今回は「趣味ですか。仕事ですか」のシリーズで、オンラインコースビジネスにおける先行投資についてお話しします。
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成功する起業の方法論 – ベラさんの経営哲学
ベラさんの驚異的な年商60億円達成の秘訣
先日、X(旧Twitter)である興味深い投稿を見かけました。投稿者は「ベラさん」というアカウント名で、創業3年で年商60億円を達成した30代の中小企業オーナー社長です。その方の投稿を少しご紹介したいと思います。
「起業3年で年商60億円を達成した私が、成功する再現性の高い起業法を教えます。まず初めに強調したいのは、借入や出資などの資金調達は絶対にするなということです。スタートアップ経営で最も大事なのは、柔軟に動けることです。」
資金調達を避けるべき理由と柔軟性の重要性
さらにベラさんは成功する起業についてこう述べています。
「狙う事業領域すらも変わりうる中で、いかにピボットできる状態を維持しながら事業をつくれるかが鍵となります。そんな中で借り入れをすると、返済原資がないでしょうから、いずれ首が回らなくなるし、資本を募ると、意思決定が遅く、鈍くなってしまいます。
なので、バイトをしてください。業務委託で仕事を受けるのでもいいです。サラリーマンは時間の柔軟性がないからNGです。もう一度言いますが、自由に柔軟に動ける状態を作ることが大事なので、定職には就かず、バイトやフリーでの仕事を獲得してお金をコツコツと貯めて、余剰資金で事業を作ることに勤しんでください。こうすれば絶対に失敗することはありません。
もちろん、働きながら事業を作るということはワークライフバランスとか言っている場合ではないことはご理解いただけるかと思います。贅沢もできません。でもそんな、手金だけで大した事業もできないだろうって?いや、スタートアップにまとまったお金なんて不要なんですよ。むしろ、少額で始められない資本集約的な事業なんてのは、大企業がやるものなので、絶対に手をつけてはいけません。その発想が出てくる時点で起業には向いていないのかもしれません。
いつの時代も成功する起業ってのは、少額のお金と、斬新なアイディアと最後までやりきる胆力があればこと足りるのです。誰にでもできる起業法です。働けば食いっぱぐれもないし、株主に迷惑をかけないし、借入が返済不能になって破産することもないし、自由に事業を作ることができます。起業においてはまず失敗しないことが、成功の大前提になります。」
引用:https://x.com/hasselbainkpuma/status/1798742660192297028
オンラインコースの高利益率と事業としての可能性
高利益率のビジネスモデルとしてのオンラインコース
上述の投稿を読んで、私は規模感こそ異なりますが、大いに共感する部分があったんですね。それは、事業を立ち上げ作り上げるということは、ワークライフバランスを考えている余裕がないということ、そして贅沢が許されるわけではないという点です。
このように言うと、きっと「いや、私はそれほど大きな事業を作ろうとしているわけではないから」と思う方もいるかもしれません。その気持ちも十分に理解できます。しかし、何かを提供して対価としてお金をいただく以上、それは商売であり、ビジネスであり、事業なのではないでしょうか。事業を行う以上、あなたは個人事業主なのです。
デジタルコンテンツ制作のコストと特長
特に、オンラインコースやデジタルコンテンツは非常に高い利益率を持つビジネスだと思います。一度機材とソフトを揃えれば、追加の仕入れは必要なく、在庫を抱えたり、梱包や発送の手間もかからないからです。他に大きなコストがかかることも少ないのです。
しかし、短所もあります。現在、オンラインコースビジネスで名前が知られている多くの方が共通して言っていることがあります。それは、成果が出るまでにとにかく時間がかかるということです。どうしてだと思いますか。その理由はとてもシンプルなんです。
成果を得るまでのオンラインビジネスの課題と時間投資
成果が出るまでに要する時間とその理由
オンラインコースビジネスの基本的な構造としては、無料のコンテンツを提供して見込み客のリストを獲得し、その後、有料のコンテンツを販売するという流れがあります。そのため、継続的にコンテンツを作り続けなければなりません。その制作にかかる時間を先行して投資する必要があるため、どうしても時間がかかってしまうのです。
このイメージは伝わっていますでしょうか。リストの獲得、つまり見込み客のメールアドレスを集めるための無料コンテンツの作成、そして有料コンテンツ、その一連の販売・納品の仕組みが整うまでは、ワークライフバランスとか言っている場合ではないんです。
リストビルディングと見込み客の重要性
もちろん、例外もあります。たとえば、20代や30代の若い世代の方々は別かもしれません。しかし、私のところに来てくださる方々や、ポッドキャストを聞いてくださる多くの方々は、私と同年代、もしくは私より年上の方が大半を占めているんですね。つまり、私たちは人生のさまざまな期限が迫ってきている状況にあるのです。
少し横道にそれますが、私、ポッドキャストの収録のときは老眼鏡かけているんですね。というのも、パソコンで録音しており、パソコンの画面を見ることができないので、話す内容をブレッド形式でスマホに書いており、字が非常に小さいんですね。見失わないように、念のために老眼鏡かけています。
先日、絵を教えている先生とお話しする機会がありました。その先生は、高齢者施設で絵を教えた経験もおありで、「年を取ると白と黄色の区別が難しくなるんです」とおっしゃっていました。私自身、作業療法士として高齢の方々と多く関わってきましたが、そこは気づいたことはありませんでした。確かに白と黄色は似た色で、コントラストがはっきりしていないですよね。だから想像はできるものの、実際にその現象に直面したことはありませんでした。先生に「そうなんですか?」と伺ったところ、「そうなんですよ。いずれ私たちにもその未来が訪れます」とおっしゃられました。本当にその通りだと思いました。
私のコンテンツに来てくださっている50代以上の方々には、豊富な人生経験や仕事を通じて得た専門知識がたくさんあると思います。そして、その中にオンラインコースにできる題材が必ずあります。ただ、残念ながら体の機能は徐々に衰えていきます。たとえば、定年退職した後にオンラインコースビジネスに取り組もうと考えている方もいらっしゃいますが、実際にコース作りに着手するまで時間がかかってしまうことがあるんです。
定年まで勤め上げた方々にとっては、これまでやりたいことを後回しにしてきたからという気持ちで、今やっとそれらを実現できる状況にあるかもしれません。趣味としてオンラインコースビジネスに取り組むのであれば、それでも良いでしょう。時間の猶予もあります。趣味であれば必ずしもお金を稼ぐ必要はないからです。
テストマーケティングが鍵!商品開発のステップ
テストマーケティングの具体的アプローチ
しかし、事業として本気でやっていこうと考えているのであれば、もう一刻も早く取り組んで、余暇を削ってでも進めていかないといけません。たとえば、いくつかのコースを作りたいと思っても、絵の先生がおっしゃったように目が老化すると、動画編集の際に波形がよく見えなかったり、スライド作成時に色の区別がつきにくくなったりすることがあります。そのようなことが起きると、すべての作業ペースが遅くなりやすくなります。
作業がしんどくなってくると、それを長く続けるのは難しくなり、結局やめてしまうということにもなりかねません。「オンラインコースビジネスで不労所得を得たい」と最初に思っていた方も、途中で諦めてしまうことになります。それは、最初からある程度予測できることでもあります。
ですので、今という最も若い時期に、「ワークライフバランスが大事だから」などとは言っていられません。「ちょっと海外旅行に」や「ディナーショーに行きたい」などと考えている場合ではないのです。この点をしっかりと理解していただければと思います。
この後、詳しくお話ししますが、コンテンツビジネスを始める際にまずどこから手をつけるべきかと言いますと、最初は軽いジャブのような感じで、まずはご自身が考える商品を作り、テストマーケティングを行うことをおすすめします。
フロントエンド商品からの戦略的な流れ
動画講座であれば、長さは30分程度で、価格は数千円に設定すると良いでしょう。それでテストマーケティングを行い、どんな人々があなたのお客様として興味を持ってくれるのか、そしてどんなフィードバックをくれるのかを確認します。その結果を元に、本命の商品を作り上げていきます。
マーケットというのは本当に変動が激しく、トレンドも常に変わります。私自身もこの分野で10年ほど活動していますが、それでも市場に出してみなければ、売れるかどうかはわかりませんし、どんなお客様が興味を持ってくれるかも予測しきれない部分があります。
したがって、テストマーケティングを行い、自分の思っていた通りのお客様が来てくださる場合もあれば、私のように「思っていたのとは違う」という方々がたくさんいらっしゃる場合もあります。それを受けて軌道修正を行い、その上で本命の商品を作り上げるのが最も効果的な順序だと思います。
効果的な集客の仕組みとその成功法則
ステップメールを活用した集客戦略
本命商品の考え方についてですが、まず手順があります。まず最も売りたいバックエンド商品、つまりあなたが作りたい高単価の商品を考えます。それから、そのバックエンド商品の手前に位置する中単価のミドルエンド商品を作ります。さらに、そのミドルエンド商品を欲しくさせるための最初の商品としてフロントエンド商品を作ります。
フロントエンド商品を作る理由は、まずお客様が「試してみよう」と思うためのものです。お客様はここであなたとの相性を確かめることができます。そのため、フロントエンド商品は非常に重要です。
そして、このフロントエンド商品に自然とつながるような無料コンテンツを、その手前に用意します。これが、いわゆる「リスト取り」とも言われるリストビルディングのための無料コンテンツです。無料レポートやリードマグネットとも呼ばれることがありますが、お客様はあまりメールアドレスの登録をしたがらないのが現状です。
私たちも普段、メールアドレスをむやみに登録することはありません。しかし、「これ欲しいな」「この内容を知りたい」と思わせるような無料コンテンツを提供しないと、リストを獲得することが難しいのです。リストがないと、フロントエンド商品やミドルエンド商品、バックエンド商品といったオファーを順々に提供することができません。そのため、必ずリストを獲得できるような質の高い無料コンテンツを作成する必要があります。
コンテンツ制作と集客のバランス
この無料コンテンツは、最終的にバックエンド商品からミドルエンド商品、ミドルエンド商品からフロントエンド商品という流れで、お客様が興味を持ち、欲しくなるように設計します。重要なのは、全体に一本筋を通すことです。このようにして、最終的には後ろから(バックエンド商品から)順に作っていくことが成功の秘訣です。
さらに、無料コンテンツを単に作っておいても、誰の目にも触れません。そのため、ブログ記事やYouTube動画などを活用して、無料コンテンツへの誘導を行うことが重要です。これらは、見込みのお客様がたどり着きやすい場所や検索結果で見つかるところ、もしくはお客様が集まりやすいプラットフォームに投稿することで、効果的にお客様に届けなければなりません。
無料コンテンツを用意する場合、一つのバックエンド商品を販売するためには、その手前に4種類の異なるコンテンツを作る必要があります。もちろん、手前のコンテンツは一種類だけではなく複数ある方が望ましいです。理想的には、複数の入り口(10個など)があり、それをどの入り口からたどっても、最終的にバックエンド商品に繋がる道筋となるように設計します。このため、手前の4種類のコンテンツをそれぞれ3個から5個ずつバリエーションを増やしていく手順をとります。
ですから、最終的に売るバックエンド商品一つに対して、最低でも5×4、つまり20個のコンテンツを作成する必要があります。ここで質問です。これらのコンテンツを作成するのに、どのくらいのスピード感で進めることができるでしょうか。
たとえば、ミドルエンド商品として2時間のオンラインコースを作ると仮定します。完成したものが2時間の長さであるとして、どれくらいの時間をかけて作成できますか。自分が2時間の完成尺のオンラインコースを作るのにどれだけ時間がかかるかを把握していれば、作業の全体量をさっと計算できるはずです。そして、これだけのコンテンツを前もって準備しなければならないと理解すれば、遊んでいる暇はないと気づくことでしょう。
私の場合は、完成尺が2時間のコースであれば、56時間あれば作ることができます。
私は時間を計測し始めてから大体4年ぐらいで「2時間のコースであれば平均して56時間かかる」ということを把握するようになりました。ご自身の作業にどれだけの時間がかかっているかをトラッキングしていくと良いでしょう。
このトラッキングは、早いほうが良いとか遅いからダメだといったことではなく、自分がどれだけの時間を必要とするかを把握することが重要です。確かに早いほうが効率的ですが、だからといって遅いからといって自分を否定する必要はありません。自分のペースを理解することで、適切な計画を立て、見通しを持つことが大切なのです。
商品を作ってからでないと、その後の集客用の無料コンテンツ、つまり顧客を引きつけるためのコンテンツを作成することができません。
最近はSNS集客が流行していますが、何を売るか、何を紹介するかといった具体的な目的が決まってからでないと、そこに繋がる効果的な情報発信を行うことができません。ですので、何となくSNS集客から始めようとするのは、控えた方が良いです。
商品の制作と販売戦略を考えてから逆算して計画を立てるべきです。たとえばスーパーでグラタンの素を売るという目的がなければ、店頭でお客様を集めるのは難しいでしょう。グラタンを売ると決まっているからこそ、「マカロニはこうやって茹でると良いですよ」といったアドバイスや、マカロニや他の具材を一緒にセールにしたり、実演を行ったりできる筋道が立つわけです。
何を売るかが明確でなければ、どんな無料コンテンツを提供するべきか、どんな試食品を用意すべきかもわからなくなってしまいます。オンラインビジネスになると、なぜか多くの人が最初に集客に走り、順番を間違えてしまいます。
オンラインコース成功の鍵は時間の先行投資にある
成功事例から見るオンラインコース収益化のプロセス
話を元に戻しますが、商品制作は後ろから前に向けて考えていくのが望ましいのです。バックエンド商品を作るのは非常に大変ですが、そのためにこそ、最初にテストマーケティングを行い、小さな商品を販売し、マーケットの反応を見ることが重要です。どんなお客さんが来てくれて、何を提供すると一番喜ばれるのかを確認してから、本命の商品作りを始めます。
前の商品、その前の商品、そしてさらにその手前の無料コンテンツや集客コンテンツを作っていくので、まるで永遠にコンテンツを作っているような感覚になります。本当にそうです。そして、商品が完成したら次は集客の仕組みを構築します。
具体的には、ステップメール(日本語では「ステップメール」、英語圏では「メールシーケンス」と呼ばれます)をどのように組み立てるか考えます。このシーケンスでは、例えば何通のメールにするか、最初のメールで挨拶を行い、次のメールで質問し、さらにその次で温めのコンテンツを提供し、オファーを提示し、最後のメールで時間制限を伝える、といった構成を考えます。
これらのメールシーケンスをメールサービスプロバイダ、つまりメルマガ配信スタンドにセットして、お客様が自然に流れてくるような仕組みを作ります。この集客の仕組み作りとコンテンツ作りをうまく両立させていく必要があります。これができて初めて、あなたが願う不労所得が成立するのです。
効率アップと作業ペースの管理
聞いただけで少しうんざりしたかもしれませんが、実際にやってみると楽しいものです。ただし、とにかく時間がかかりますね。私と同じようにサラリーマン経験が長い方や、実家が商売をしていなかった方にとっては、ビジネスを始める感覚を身につけるまでに時間がかかります。相当時間がかかります。私自身、最初はビジネスをやっているとか商売をしているとか、なかなか自信を持って言えませんでした。
なんとなく恥ずかしい気もしたし、自分はそんな大層なことをやっているわけではないと思っていました。逃げの気持ちもあったと思います。しかし、何かを売ってお金をいただくのであれば、それは商売であり、ビジネスです。
そのためには、何かを売ってお金をいただくに値するものを作り上げなければなりません。そう考えると、本当に遊んでいる暇はあるのでしょうか?私には全くありませんでした。このあたりの話はまた別の機会にしますが、それほど時間がかかるものだという前提で考える必要があります。
そこで、質問をさせてください。あなたは時間を先行投資する覚悟がありますか?ぜひご自身によく問いかけてみてください。
何も悲観的な要素ばかりではありません。たとえば私の場合、2018年11月に作成した「WordPressを構築する」というオンラインコースは、2024年の今、この原稿を書いている時点でちょうど丸6年になりますが、今でもお求めいただいて、たくさんの受講生の方に学習していただいています。受講者からの質問は月に1回あるかないかで、その質問に答えるだけで、そのコースが私の代わりに教えて稼いでくれるため、正に不労所得となっています。
しかし、その前にはWordPressで多くの時間をかけて学び、その経験を基にしてコースを何十時間もかけて作り上げました。完成尺は約4時間ですが、作るのには多分20〜30時間はかかったと思います。
それでも、このようにして作ったコースが2018年から2024年の現在まで収益を生み出していることは、素晴らしいことだと思いませんか?丸6年を時間に換算してみましょう。6年は2,190日。2,190日は52,560時間です。52,560時間と、作成にかかった20〜30時間を比べると、20〜30時間なんてほんの少しの時間ですよね。これが感覚としてわかっているからこそ、あなたもオンラインコースビジネスをやりたいと思っているのだと思います。この20〜30時間という時間の先行投資が必要ですということを繰り返しお話ししているのです。
「それでも20〜30時間か…」と思われるでしょうけれど、コース作りに慣れていくと、効率も上がり、どんどんスピードも速くなります。ただ、最初はどうしても手際が悪くなりがちです。ここでは忍耐が必要です。
現在、余暇に使っている時間をすべて事業に充てることができるでしょうか。この「すべて」というのは、文字通りの意味です。家事や育児、食事、お風呂、睡眠以外のすべての時間を事業に投入することになります。特に女性の場合は、多くの家庭責任を抱えているかもしれませんが、それ以外の時間を全て事業に充てる覚悟が必要になるでしょう。それが難しいと感じるならば、オンラインコースビジネスのようなコンテンツビジネスは避けるべきかもしれません。
なぜなら、いつまでも商品が出来上がらないか、たとえバックエンド商品が完成しても、その前に位置するフロントエンド商品や無料コンテンツが整わないことで、バックエンド商品を効果的に販売するまでに至らない可能性があるからです。しかし、ほんの1年間でも一点集中できる方であれば、大丈夫です。成功する見込みは十分にあります。
一点集中ですよ。その間は、SNSもテレビもYouTubeも見ない。本当に何もしない、文字通りの一点集中です。受託案件も持つ余裕はありません。そんなことをしている暇はないです。一点集中で取り組むことができる方にとっては、オンラインコースビジネスは非常に価値があり、スケールしていくビジネスモデルです。
冒頭でお伝えしたように、事業を作るということはワークライフバランスを考えている場合ではなく、贅沢もできません。この言葉を心に留めて、お互いにしっかりと頑張っていきましょう。
それでは、またお会いしましょう。